介護という仕事は、対象者が抱えるある障害によって発生した生活のやりにくさをお手伝いする仕事なので、対象者とのコミュニケーションは必須です。
コミュニケーションとは、これからどのような介助をするか、どのようにしてほしいか、どうしてほしいかの確認をする時等用いる言語化されたコミュニケーションが必要です。対象者が今から何をされるのか分からない状態で介護を行ってはいけませんので、必ず介助動作に入る前には声かけが必要です。
では声掛けができていればコミュニケーションはできているというとそうではありません。もう一つ大切なコミュニケーションの取り方は非言語コミュニケーションです。表情、仕草、そこから醸し出す雰囲気のことです。「目は口ほどに物を言い」とはよく言ったもので、たとえ言葉使いが柔らかく優しくても、表情が硬かったりソワソワ落ち着きがなかったりすると対象者に不安を与えてしまいます。むしろ言語化されたコミュニケーションより露骨に伝わってしまうのが非言語コミュニケーションです。
介護をする上では落ち着きと穏やかさも必要です。例えば移動を促す時などさっと傍にいって顔を見ながらそっと手を出し、それから「あちらにいきましょか」と誘導する。この時、つい忙しいと大声で遠くから声掛けするなんてこともあるかもしれませんが、やはりお勧めできません。穏やかに過ごしてもらうためには、援助者も穏やかな雰囲気を醸し出さなければなりません。言語的なコミュニケーションだけではなく、「大丈夫ですよ」という空気をふわっと身にまとうべく非言語コミュニケーションも磨いていきましょう。